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【TOHOシネマズ】映画選択をスムーズに導く情報設計の手法を紹介!「分析・情報設計編」

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サイトを利用した時、ちょっと使いにくい…と思ったことはありませんか?「かってにUX」では、いろいろなシステムやサイトのUX改善を“かってに”行い、より良いユーザビリティを目指し提案します。

一方で、「UX改善」「UXデザイン」という言葉に馴染みのない方もいるでしょう。「かってにUX」では、どんな方でもユーザビリティを意識したデザイン改善のフローをご理解いただけるよう、具体的に解説します。

今回は「TOHOシネマズ」のWebサイトを対象としたUX改善を、「分析・情報設計編」「ワイヤーフレーム・デザイン編」の2つの手順に分けて説明します。ぜひ読んでみてください。

目次

対象サービスの企業情報

基本情報

商号
TOHOシネマズ株式会社
資本金
23.3億円
従業員数
約6300名(2024年1月1日現在/パート・アルバイト含む)
業界
映画業界、映画館チェーン(TOHOシネマズ)
ホームページ
https://www.tohocinemas.co.jp/

※映画製作配給会社の東宝の100%子会社

ビジネスモデル

  • 映画事業

    映画の製作・配給、映画館の経営、映像事業など、映画に関連する事業を幅広く展開しており、複数の収益源に依存している。

    • 映画製作/配給:映画の製作/配給によって得られる利益。
    • 映画館経営:映画館でのチケット販売、飲食販売、広告収入等。
    • 映像事業:映画のDVD・Blu-ray販売等。
  • サービス展開方法

    新たな映画館の建設、既存の映画館のリノベーション、海外展開、企業や団体とのコラボレーション等を行い新たな顧客層を獲得する。

  • ターゲット

    • 都市部に住んでいて、ハリウッド映画や新作の映画に興味がある単身世帯
    • 仕事終わりに近くの映画館でふらっと映画を見に行きたいビジネスマン
    • 家で見る映画ではなく、劇場に足を運んで臨場感を味わいたい人
    • 待ち合わせまでの時間潰しに映画を見たい人

競合分析

株式会社松竹マルチプレックスシアターズ」を提供価値やサービス内容、機能が似ている競合のプロダクトとして挙げ、調査対象として検証しました。

特徴・強み

  • 全国展開とブランド力

    全国で70を超える映画館を運営しており、顧客の来場者数では日本トップシェアの映画興行会社。そのため、日本国内での知名度と信頼性が高く、ブランドイメージ、顧客サービス、上映体験、イベントやプロモーションにおいて統一感のあるサービスを提供。また、新作映画や特別イベントの集客において優位性を持つ。

  • プレミアムな映画体験

    IMAXや4DXなどの最新技術を用いた上映形式や、快適な座席(プレミアスクリーン等)、豊富な飲食サービスで、顧客に対して特別な映画体験を提供。

  • 全国規模のイベント

    全国的な特別イベントやプレミア上映を実施し、一貫したブランド戦略のもとでのプロモーションを行う。全国的な顧客層をターゲットにした大規模なイベントが特徴。

現状のサービスの分析

まずは現在のサイト全体の分析を、次のステップに沿って行います。

  • 全体の導線を確認する
  • 深く見ていく対象範囲を選定する【課題整理】
  • 機能構造を把握する【分析】
  • ユーザー導線=ユーザーストーリーの仮説を立てる【仮説】
  • ユーザーストーリーの仮設から再度分析を行う【検証】

UXデザインでは、2〜5のステップを繰り返し行うことでより良い改善策を考案していきます。

サイトを見る際には、以下の観点でサイト要素をカテゴリ化し、メリット・デメリットを整理します。
その上で、特に重要度の高いものを軸に課題の分類・整理を行います。

  • UI
  • UX
  • コンテンツ
  • 機能
  • ビジネスモデル

分析の結果、以下のようなサービス・サイト全体のメリット・デメリットがわかってきました。

メリット

  • ポイントプログラムや会員制度の導入
  • 会員プログラムやポイントカードによって顧客のロイヤリティを高め、全国どこでも利用可能な特典や割引を提供。顧客の満足度を向上させ、リピート率を高める。

  • インターネットを利用したチケット予約システム
  • 自社予約システムを持っており、事前に座席指定やチケット購入が可能。ユーザーに詳細な座席選択やプレミアムサービスの予約が可能でモバイル対応が充実し、トラブル対応にも迅速。

  • 多様な映画ラインナップ
  • 最新のハリウッド映画から日本映画、アート系作品まで幅広く上映し、さまざまな顧客層のニーズに応えている。

  • 特別イベントとプレミア上映
  • 特別なイベントや映画のプレミア上映を頻繁に開催しており、メディアや映画ファンに話題性と特別な体験を提供。

デメリット

  • 会員データの管理とセキュリティ
  • 会員情報やポイントデータなどの個人情報は、適切に管理することが重要だが、セキュリティ対策が不十分な場合、情報漏洩や不正利用のリスクが生じ、顧客の信頼を失う可能性がある。

  • 上映コンテンツの差別化
  • 最新作や話題作は、他映画館でも上映されるため、TOHOシネマズだけでしか見られないという状況が少ない。顧客にとって他映画館と大きな違いを感じにくい。

  • チケット発券時の行列
  • 「並ばずにチケットを購入できる」一方で人気作品や割引サービスデイ、休日など「vit」利用者が多い場合は発券機・自動券売機前に行列が出来ることがある。※モバイルチケット対応劇場を除く

  • 予約システム(SP)
    • IMAXや4DXなどの最新技術を用いた上映形式と一般上映の検索が同時にできないため不便さを感じる。ソート機能があると便利。
    • 予約完了までのフローが長いため途中で離脱する可能性がある。
    • 座席選びの際に必然的にズームになるため、逆に操作がしずらい。

    特別なイベントや映画のプレミア上映を頻繁に開催しており、メディアや映画ファンに話題性と特別な体験を提供。

UX改善の目的

劇場トップページにおいて上映スケジュール確認が主要目的であるにもかかわらず、ファーストビューに配置されていないため、ユーザーがスクロールする必要がある。また情報が混在し、スケジュール、劇場情報、ニュースなどが整理されていない。以下の課題を解決する事でてユーザービリティ向上と継続的な利用率がさらにアップする事に繋がります。

UXデザインの課題

UXデザインにおける課題には以下のようなものがあります。

  • 映画を選ぶ段階で、情報がテキスト中心だったり、予告編やビジュアルの演出が不足していることで、選択が楽しさを伴わない「タスク」と化している可能性がある。
  • 予約完了までのフローが長く離脱リスクが高い
  • 座席選びでズームが必然的に作動し、操作性が低い。
  • 最新技術(IMAXやMX4Dなど)の上映形式と一般上映が同時検索できない。

UIデザインの課題

UIデザインにおける課題には以下のようなものがあります

  • フォントサイズや太さが統一されておらず、視認性が低い。
  • 重要な情報(例:重要なお知らせ)が目立たず、配置が不適切。
  • ハンバーガーメニューやボタンサイズが小さく、操作しづらい。
  • ボタンのホバー効果が複数パターンあり、一貫性に欠ける。

ペルソナ

サービスを利用する「架空のユーザー像」のことをペルソナと呼びます。UXデザインのプロセスにおいてユーザーを中心に考えるために用いられ、プロジェクト関係者間の共通理解を促進するためにも活用されます。

サービスの特徴とコンテンツの内容から、ユーザーの属性・インサイトを分析し、次のようなペルソナを設定しました。

現状の課題/改善の方向性

映画予約という行為を、単なる情報取得や操作のステップではなく、映画を選ぶ楽しさや期待感を高める体験へと転換していくことを目指していきます。

その実現に向けて、UI全体を視覚的な没入感を軸に再構成し、ユーザーが直感的に映画を選び、感覚的に予約へ進めるインターフェースを設計していきます。また、目的の情報に迷わずたどり着けるナビゲーションや、利用者の関心に寄り添った情報提示を通じて、一人ひとりの文脈に合った体験を提供することを目指します。

新サービスの提案

  • ナビゲーションの最適化

    予約に直結する情報に絞ったメニュー構成と、「予約する」ボタンの視認性向上により、ユーザーが迷わず目的の行動に進める導線を実現。

  • 映画選択の視覚的な訴求力強化

    ポスターを活かしたデザインへ刷新。ユーザーが一目で映画の雰囲気を感じ取り、スムーズに予約へ進める体験を提供。

  • パーソナライズ機能の強化

    ユーザーの視聴履歴や傾向を基にした映画提案を実施。また会員向けに鑑賞済みや気になる映画を保存できる機能を新設し、映画体験を個人のライブラリとして蓄積可能に。

次回はワイヤーフレーム・デザイン編です。

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UXデザインコンサル会社 / Webコンサル会社へ業務を委託するというやり方が考えられます。

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