テクノロジーの進化は生活やビジネスの形を大きく変えました。SNSや動画サービスが浸透し、AIやDXも特別な言葉ではなくなっています。変化の速い今こそ、ユーザーの本当の課題を捉えたプロダクト設計が重要です。その鍵となるのが「デザイン思考」です。
本記事では、デザイン思考の基礎とビジネスで求められる理由をUXの視点から解説します。
目次
デザイン思考とは
デザイン思考とは見た目を整える手法ではなく、ユーザーの視点から課題を見つけ解決策を考える思考法です。
市場や自社の事情ではなく、ユーザーの体験に基づいて価値をつくる点が特徴です。変化の速い時代では前例に頼れない場面も多く、ユーザー理解を軸に発想できるこの考え方が注目されています。
デザイン思考のプロセス
デザイン思考は5つのプロセスで進みますが、順番どおりに一方通行で進めるわけではなく必要に応じて前の段階に戻りながら改善を繰り返します
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観察・共感
ユーザーの体験や感情を理解する段階です。行動を観察したり、インタビューや実体験を通じて課題を見つけたりします。先入観を排除し、ユーザーの視点で物事を見ることが重要です。
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課題の定義
観察で得た情報から、解決すべき課題を明確にします。表面的な不満ではなく「誰の、どんな状況の課題なのか」を言葉にします。場合によっては、ユーザー本人も気づいていない課題が明らかになることがあります。
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アイデア創出
定義した課題に対して、制限を設けず幅広くアイデアを出します。ブレインストーミングなどを用い、多くの選択肢を出した上で、価値が高く実行可能な案を選びます。
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プロトタイプ
選ばれたアイデアを形にします。完成度は重視せず、早く・小さく作ることが目的です。紙や模型、簡易アプリなどで試作します。
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テスト
プロトタイプをユーザーに使ってもらい、改善点を確認します。課題が解決できていなければ、再び共感や課題定義に戻ることもあります。短いサイクルで検証と改善を繰り返すことが成功の鍵です。

ビジネスにおいてデザイン思考が注目される理由
ビジネスでデザイン思考が注目される理由は、主に次の2つです。
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モノより体験が選ばれるようになったため。
物が十分に行き渡った今、ユーザーは機能や価格だけでなく、使いやすさや感情に寄り添った体験を重視して商品やサービスを選びます。その価値を生み出す方法として、ユーザー視点から課題を捉えるデザイン思考が活用されています。
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競合との差別化が難しくなったため。
技術の発展により新しいサービスはすぐ真似されます。だからこそ、UX※など体験の質こそが競争力となります。こうした背景から、デザイン思考の重要性が高まっています。
※UXとは「ユーザーエクスペリエンス(User Experience)」の略でユーザーが購買サービスの利用を通じて得る体験全体のことを意味します。とりわけITサービスの画面の美しさや使いやすさなどの利用体験だけに焦点を当てて語られることが多いですが、実際はオンライン / オフライン問わずユーザーが得る体験についてはその全てを指します。
デザイン思考がもたらすメリット / 効果
デザイン思考を取り入れることで、事業開発やサービス改善にさまざまな効果が期待できます。
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ユーザーに選ばれるプロダクトをつくれる
ユーザーの行動や感情を起点に設計するため、実際のニーズに合ったサービスを提供でき、利用されやすいプロダクトにつながります。
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新しい価値や発想が生まれやすくなる
既存の枠や前提を疑い、ゼロから考えることを重視するため、従来の延長では気づけなかった課題やアイデアにたどり着けます。
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チームの共通認識と一体感が高まる
調査・アイデア出し・試作までをチームで進めるプロセスのため、現場メンバーの主体性が高まり、トップダウンではなくボトムアップで開発が進みます。
デザイン思考を用いる際の注意点
デザイン思考は効果的な手法ですが、使い方を誤ると成果につながらないこともあります。注意すべき主な点は次の2つです。
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まったく新しい市場やサービスには向きにくい
デザイン思考はユーザーの既存の体験や課題を起点とするためまだ市場が存在しないサービスです。ユーザー自身もニーズを認識していない領域では、適切な情報が得られず検討が進みにくくなります。
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表面的な理解で進めると逆効果になる
観察や課題定義が浅いまま進めると、ユーザーの声を部分的に取り入れただけの中途半端なプロダクトになりかねません。適切なプロセスを踏まずに導入すると、むしろ成果を遠ざける可能性があります。
デザイン思考を用いた成功事例
セブン銀行では、ATMの新たな価値を見出すためにデザイン思考を採用しました。従来の仕様起点の開発ではなく、まずユーザーへのインタビューや行動観察を徹底的に実施し、「近くで使える」「待たずに済む」「安心して取引できる」「操作が分かりやすい」といった本質的な価値を抽出しました。さらに社内メンバーだけでなく、異なる部署や外部パートナーも巻き込んでアイデアを検討。
多様な視点を取り入れることでユーザーが本当に必要とする機能を見極め、優先順位を明確にしました。その結果将来の技術進化や新たなニーズにも柔軟に対応できるよう、ソフト・ハードの両面で拡張性を持たせたATMの仕様が設計されています。ユーザー中心の設計と再現性のあるプロセスが、実際のサービス改善へとつながった事例です。
*出典*
「令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業 我が国におけるサービスデザインの効果的な導⼊及び実践の在り⽅に関する調査研究報告書[詳細版]」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200420002/20200420002-3.pdfデザイン思考を用いたプロジェクトを推進するためには
自社でデザイン思考を重視した事業開発プロジェクトを推進するためには、以下に示すような中長期的な施策をおこなっていく必要があります。
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社内 / プロジェクト内のUX人材育成
社内においては実際にプロダクトのデザイン思考を用いたコンセプト設計や検討をおこなう人材が不足している場合はどうしてもプロジェクトの推進力が落ちてしまいます。人材の育成は短期的に行うことが難しいので、中長期的な目線での人材投資 / 機械創出が求められます。
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組織全体のデザイン思考の重要性の啓蒙
社内やプロジェクト内においてデザイン思考のコンセプトが軽視されていると、あらゆる場面において各所の協力を得ることができずプロジェクトが進まなかったり、最悪の場合は頓挫してしまうことも考えられます。
結論 / まとめ
サービスやプロダクトは、ユーザーが存在して初めて価値を持ちます。そのため、生活環境や価値観が絶えず変化する今の時代では、企業側の視点だけでサービスを設計することには限界があります。
ユーザーの感情や行動の背景まで深く理解し、本質的な課題を見つけることが重要です。デザイン思考は、その課題を掘り下げるための有効なプロセスとして、多くの企業で注目されています。
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