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おとり効果(Decoy Effect)とは?事例を詳しく解説!

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昨今、AI・機械学習の技術の発達を筆頭にテクノロジーが進化することで我々の生活は大きな変化を遂げています。スマートフォンのようなハードウェアからアプリケーションのようなソフトウェアまでITに関連するサービスを利用することなしには生活を送ることは難しくなっているでしょう。 それらのサービスが我々の生活における、何を買うか・何を選ぶか・何をやめるかといった意思決定を大きく左右していると言えます。

本記事では、近年UX設計において注目を集める「おとり効果」というキーワードについて、そのビジネスにおける重要性とあわせて解説していきます。

目次

おとり効果(Decoy Effect)とは

おとり効果(Decoy Effect)は、UX(※)を設計するにおいて重要な手法の一つです。ある選択肢をユーザーにとって魅力的に見せるために、あえて不利な選択肢(おとり)を提示することで、特定の選択肢を選びやすくする方法です。UXデザインにおいては、ユーザーが迷わず直感的に最適な選択を行えるようにすることが重要で、そのために大きな効果を持っています。

例えば、3つの料金プランを提供するサービスにおいて、1つは最も安価で機能が限られたプラン、2つ目は高価で多機能なプラン、そして3つ目がこの2つの中間に位置するものとします。ユーザーに中間のプランを選んでほしいと考える場合、高価なプランが存在することで、中間プランが「お得」に感じられ選ばれる確率が上がります。

※「UXとは」…

UXとは「ユーザーエクスペリエンス(User Experience)」の略でユーザーが購買サービスの利用を通じて得る体験全体のことを意味します。とりわけITサービスの画面の美しさや使いやすさなどの利用体験だけに焦点を当てて語られることが多いですが、実際はオンライン / オフライン問わずユーザーが得る体験についてはその全てを指します。

※UXの重要性に関しては過去の記事「DXを推進する際になぜUXを重要視する必要があるのか?」を参照

おとり効果(Decoy Effect)とは?事例を詳しく解説!

おとり効果(Decoy Effect)が注目される理由

近年、主に以下の2つの観点でおとり効果の活用が注目されるようになっています。

  • デジタル化の加速と複雑な意思決定のサポート

    近年、デジタルサービスやオンラインショッピングの急速な普及により、ユーザーは膨大な量の情報や選択肢に直面しています。おとり効果は、ユーザーに適切な選択肢を「誘導」することで、意思決定を簡単にし、ユーザーが迷わずに価値を感じられる選択をする手助けをします。

  • データドリブンなUX最適化

    多くのデジタルサービス企業は、データ分析やA/Bテストを活用し、UXの改善に対する効果を数値で把握できるようになってきています。おとり効果は、ビジネス成果に直結する手法として評価され、ユーザーの選択行動をコントロールしやすいため、売上やコンバージョン率の向上に貢献しています。特に、競争が激化する中で収益性を高めるため、心理学に基づいたUX戦略が重視されるようになって来ています。

おとり効果(Decoy Effect)がもたらすメリット / 効果

おとり効果を活用してサービス開発を行うことで、どのようなメリットを得られるのでしょうか?大きくは以下の2点にまとめることができます。

  • ユーザーの選択行動をコントロールしやすい

    おとり効果は、特定の選択肢を際立たせることで、ユーザーが意図した選択をするように自然に誘導できます。これにより、ユーザーの混乱を防ぎつつも企業が望む購買行動やプラン選択へと導くことが可能になるのでビジネスにおける目標達成に向けて大きな価値を発揮します。

  • 収益性やコンバージョン率の向上

    おとり効果をうまく活用することで、ユーザーが価値を感じる高価格商品やプランを選ぶ確率が上がり、収益性を向上させる効果があります。特にサブスクリプション型サービスや、複数のプランを提供するビジネスでは、おとり効果により利益率が高いプランへの移行を促進し、全体のコンバージョン率や客単価の向上に貢献します。

おとり効果(Decoy Effect)を活用する際の注意点

多くのメリットがあるおとり効果の活用ですが、以下にあげたような点に注意することが必要です。

  • ユーザーの信頼を損なわないようにする

    おとり効果を過度に使用すると、ユーザーが不快に感じたり、企業に対する信頼を損なう可能性があります。おとり効果は、あくまでユーザーが自発的に価値を感じて選ぶ手助けをする手法であるべきであり、明らかに不自然な価格設定や不公平な選択肢を提供すると、逆にユーザーの信頼を失い、ビジネスの評判に悪影響を与えるリスクがあります。

  • 選択肢の複雑化を避ける

    選択肢が増えすぎると、おとり効果が逆効果になることがあります。あまりにも多くの選択肢を提示すると、ユーザーが混乱し、意思決定を避ける「選択回避のパラドックス」が発生する可能性があります。おとり効果を活用する際は、選択肢を整理し、シンプルでわかりやすい構造にすることで、ユーザーがスムーズに選択できるように工夫する必要があります。

おとり効果(Decoy Effect)の概念を用いたUX改善の事例

実際に、おとり効果を用いることでどういった成功を収めることができるのでしょうか?ここでは世界的に有名な音楽ストリーミングサービスである「Spotify」の事例を紹介します。

  • 背景/課題

    Spotifyは、音楽ストリーミングサービスのユーザーベースを拡大し、無料プランのユーザーを有料プランに転換する課題に直面していました。無料プランは広告付きであり、ユーザーが一定の制約を感じるものの、無料のために多くの人がそのまま使用していたため、収益化に課題を抱えていました。

  • 施策

    Spotifyは、ユーザーがプレミアムプランをより魅力的に感じるように価格設定を工夫しました。おとり効果を活用し、3つの選択肢を提示しました。

    • 無料プラン(広告付き)
    • プレミアムプラン(個人用)
    • プレミアムファミリープラン

    ここで、「プレミアムファミリープラン」をおとり効果として機能させるため、個人用プレミアムプランとファミリープランの価格差を適度に設けました。これにより、ユーザーは「プレミアムプラン」を相対的により価値が高いと認識しやすくなりました。

  • 効果

    この施策により、個人向けプレミアムプランの加入率が大幅に上昇し、無料プランからのアップグレードを促進することに成功しました。また、ユーザーはおとり効果を感じつつ、納得して有料プランを選択するため、満足度も高いという結果を得ることができました。結果としてユーザーの満足度と収益性の双方を高めることができる施策となりました。

UXを重視したプロジェクトを推進するためには

自社でUXを重視した事業開発プロジェクトを推進するためには、以下に示すような中長期的な施策をおこなっていく必要があります。

  • 社内 / プロジェクト内のUX人材育成

    社内において、実際にUXを重視したコンセプト設計や検討をおこなう人材が不足している場合は、どうしてもプロジェクトの推進力が落ちてしまいます。人材の育成は短期的に行うことが難しいので、中長期的な目線での人材投資 / 機会創出が求められます。

  • 組織全体のデザイン思考の重要性の啓蒙

    社内やプロジェクト内においてユーザー体験が軽視されていると、あらゆる場面において各所の協力を得ることができずプロジェクトが進まなかったり、最悪の場合は頓挫してしまうことも考えられます。

結論 / まとめ

おとり効果(Decoy Effect)は、単にユーザーの意思決定をサポートするだけでなく、企業側としてもビジネス効果を最大化するための鍵になります。ユーザーの思考や行動を理解し、どのような選択肢を与えることでどのような意思決定をするのかを徹底的に分析することで効果的なおとり効果の活用を行うことができます。この機会に、自社のサービスにおいておとり効果を用いたUXの改善ができるのか、いま一度考えてみてはいかがでしょうか?

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